八ヶ岳 唐沢鉱泉 2021年12月30日
八ヶ岳は実に見ごたえのある山です。
特に、長野道の下り碓氷峠を越えて佐久平にさしかかるあたりから眺める八ヶ岳の姿は格別です。
この雄姿から思い浮かぶのが、神話の世界にある富士山との背比べの話です。昔、富士山(女の神様 浅間様)
と八ヶ岳(男の神様 権現様)が背比べをしたそうです。お互いの山頂に長いトイを渡し水を流したところ水は
富士山の方に流れ、八ヶ岳の勝ちとなったのですが、悔しがった浅間様が八ヶ岳を蹴り飛ばしたところ八ヶ岳は
頭が八つに別れ今の姿になったといいます。その結果富士山は日本一の山になったということです。
その結果を見た八ヶ岳の妹の蓼科山が悲しんで泣き続けその涙が溜まって諏訪湖になったとか。
こんな神話になるくらいの雄姿をたたえている八ヶ岳、ひとつ肩をもつとしたら、八ヶ岳に降った雨は実に雄大
なるかな、北は依田川となり東に降った雨は千曲川となり、いずれは信濃川に合流して日本海に注ぎます。
一方西斜面は諏訪湖に注ぎ天竜川となって太平洋へ。南斜面の雨は釜無川から富士川に合流して太平洋に流れ込
みます。こう見ると八ヶ岳は本州の屋根ともいえるのです。富士山の雨は全て太平洋に注ぎますから。
八ヶ岳は、長野県の諏訪湖の東部から山梨県まで、北は蓼科山から南は編笠山に至る長さ25㎞に及ぶ20の峰が連
なる連峰となっています。
中ほどの夏沢峠を境に、北八ヶ岳と南八ヶ岳に分かれています。
北八ヶ岳は比較的になだらかな山が多く、樹林帯が山稜まで及び湖沼が点在しています。南八ヶ岳は浸食により
切立った峰が連なり、山麓に扇状地が広がっています。
広い裾野には、東側は清里高原、野辺山高原、西側は富士見高原、蓼科高原が広がっています。
この北八ヶ岳の南の端に、天狗岳(2,646m)があります。比較的登りやすい山のため多くの登山客が訪れる山であり
天狗岳の登山口にあたる場所に、唐沢鉱泉(1,870m)はあります。
茅野の街から蓼科高原の三井の別荘群を抜けると、舗装道路が途切れ天狗岳、唐沢鉱泉への専用道路となります。
最近では見なくなった砂利道。これこそが秘湯へつながる道です。
公的機関によって作られた道でなく、私的努力によって切り拓かれた道であることが走っていて伝わってきます。
砂利のでこぼこ道に揺られること20分で天狗岳の登山口の唐沢鉱泉に到着。
ここは温泉ではなく鉱泉です。それは、源泉の温度が10℃だからです。
温泉法で25℃以上または溶存成分1,000mg/kg以上となっているからです。溶存成分は此処は1,000mg/kgはあるの
ですが、温泉とは名乗っていません。ただ、ここ唐沢鉱泉は、日本秘湯を守る会に登録されている宿です。
この会の湯に対する基準はとても厳しいものがあり、この会に所属している宿の湯は、どこをとっても素晴らしい
ものがあり、湯に関していえば絶対のおすすめです。
唐沢鉱泉もいい湯です。宿から上流に向かった敷地内に源泉があり、毎分600リッターと豊富な源泉が湧き出てい
ます。
泉質は二酸化炭素泉で、湯舟が高温蘆花泉と低温無濾過泉があり、低温の浴槽につかっていると炭酸の泡が肌につ
いて体をさっぱりさせてくれます。
浴槽は古代杉で洗い場はヒバの床木をつかっていて何とも落ち着く空間です。奥には、源泉の打たせ湯が3mの高
さから落ちています。
温度が10℃なので、夏でも打たれるにはよほどの覚悟がいりそう。
左右の浴槽の間に、冷たい源泉があり両側に注がれています。
浴槽から注がれている源泉を感じ取れこの冷たさはとても心地よい。
八ヶ岳の霊泉だけに、ここの湯に浸かるたびに癒され感もひとしおです。
湯上りには、宿の食堂で夕食。
山ならではの素朴ながら、とてもおいしい料理を堪能できます。
なかでも野菜をたくさん入れた野菜汁は絶品です。
山の幸を主体にした食事もこの土地ならではの楽しみです。
毎回、食事中に大女将と若女将が挨拶に回ってくれ、今年もまた来たよと会話が楽しめます。
朝は早めに起きて、近くの八方台までの散歩がおすすめ。
宿から1km道を下ったところから、渋温泉への道が分岐しています。
この渋温泉への山道を1kmほどいくと、八方台があります。
小高い山から、茅野の街それから中央アルプス、南アルプスの山々が見えてこれは絶景です。
誰にも出会うことのないのもまた良い。
散歩の後は、宿の食堂で朝食、たまご、納豆、さかなと味噌汁にご飯どれもまたおいしい。
食後にはコーヒーのサービスもありまた格別。
食後にサアー もうひと風呂味って帰るとしよう。
(唐沢鉱泉は、1月上旬から4月上旬は休館となります。)