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ホルモンの働き                                2018年12月 7日

人の体内は、いつも一定の状態に保たれています。

これをホメオスターシスと言って、身体を常に恒常性を保つように機能する作用を言います。

身体が冷えれば熱を発生させ、熱が出れば熱を下げるように働く。

火事場で力が必要なれば力を出し、落ち着いたら体を安静にする。

朝起きたら活動を始め、夜になったら睡眠により疲れを癒す。

このホメオスターシスを維持する作用が、身体に2種類備わっています。

一つが神経系統で、もう一つがホルモンです。

神経系統は、瞬時に反応して恒常性を保ち、身体のなかで交感神経と副交感神経とが入れ替わり作用することで
身体の恒常性を維持しています。

一方のホルモンの方は、脳内部の視床下部からの指令により、身体の部分に分布している器官から作り出した
ホルモンを血液中に送り出し、必要とする部分に運んで、恒常性を維持する役目を果たします。神経系が瞬時に
働くことに比べて、ホルモンはゆっくり働く性質があるのです。

ホルモンには、成長を促したり、女性らしさ、男性らしさを作ったり、睡眠を促したり、活動を促したり、血糖、
血圧の調整等、非常にたくさんの機能があり、身体のいろいろな部分に分布しています。

ここでは、代表的なホルモン作用について説明していきます。

まずは、血糖にかかわる話です。私たちの細胞は血糖により運ばれた物質をエネルギーに変えて、日常の活動を
行っています。

そして、血液中の血糖濃度が血液100ml中に約100mg存在していて、この濃度が大きくずれないように
調整が行われています。

食事をするとそれに伴い血糖値が上昇します。でも1時間ほどで血糖は下がり始めます、これは糖が肝臓に取り込
まれグリコーゲンに変えられ貯蔵されるからです。そしてこの血糖値の調整をつかさどるものに、すい臓から分泌
されるインスリンがあります。インスリンは細胞へ血糖の取り込みを促進するホルモンで、肝臓では取り込んだ血
糖をグリコーゲンに合成します。一方、血糖が下がりすぎると、副腎から分泌されるアドレナリンが、肝臓に働き
かけ、グリコーゲンを血糖に変える反応を促進する働きをします。

この元締めの役割を担っているのが、視床下部で血液中の糖の濃度を監視して、一定になるようにコントロールし
ているわけです。

こうしたメカニズムを理解すると、我々の食生活のあるべき姿が見えてくるとおもいます。つまり、どちらかに偏
らせないこと。たべすぎ、飲みすぎ
 又は、食べなさすぎ、偏食しすぎは、恒常性のコントロールの妨げになるのは
言うまでもありません。飽食の時代の糖尿病は食べ過ぎ習慣で血中糖度が慢性的に高い状態を続けてきたことに伴う
病と言って過言はありません。


身体を労わるというのはこういうことなのです。


 つぎは、睡眠をつかさどるホルモンについてです。

良い睡眠に欠かせないのが、メラトニンとセロトニンというホルモンです。

メラトニンは、夜になると徐々に分泌が増え、夜中に最大になります。

メラトニンがしっかり分泌されれば、良い熟睡につながるのです。

夜メラトニンがしっかり分泌されるには、メラトニンの材料であるセロトニンというホルモンが昼間にしっかり
分泌される必要がある。

このメラトニンとセロトニンという2つのホルモンの好循環をつくることが良い睡眠のもとになります。

メラトニンは、朝日を浴びた1516時間後に分泌が増加してきます。

朝日をあびることで体内時計がリセットされるのです。そして、寝る時間の夜に部屋を暗くすることで分泌が最大
になり、眠りに入れるというわけです。注意しなければならないのは、睡眠薬による眠りではメラトニンは増加し
ないということです。

メラトニンの効果には、睡眠効果以外にも、老化防止、抗がん作用、ストレス緩和などの効果があると言われてい
ます。

メラトニンの材料は、セロトニンですが、セロトニンの材料はトリプトファンというアミノ酸です。バランスの良
い食生活でトリプトファンをうまく摂取することが大事です。トリプトファンは、魚や豆腐や納豆などの大豆製品、
牛乳、チーズの乳製品、落花生、アーモンド等のナッツ類、バナナに多く含まれています。

そして、朝に朝日を浴びながら、散歩をするとより活発にセロトニンの分泌が始まるのです。

セロトニンの効果には、覚醒効果があります。ネガティブな気持ちが解消しリラックスした平静な気持ちになりま
す、姿勢が良くなる効果があります。
痛みを緩和する効果もあります。

別名“幸福ホルモン”とも呼ばれ、楽しいこと、しあわせな気分を味わっている、笑っているときに、より多く分
泌されるといいます。

豆やナッツ、バナナ等と摂取し、朝の光を浴びて、楽しい気分を味わうようにすれば、セロトニンが活発に働くと
いうことです。そして、その結果
夜にはメラトニンが働いて熟睡でき、病知らずの生活を送れるということになる
わけです。



 つぎに、日常生活で習慣化することで効果のあるホルモン分泌方法を紹介します。

一つ目は、甲状腺のマッサージです。

甲状腺は喉ぼとけの下にある器官です。ここをマッサージしてやることでサイロキシンというホルモンがより多く
分泌されます。

サイロキシンとは、我々人間の知性とか、美の感覚、善に対する意識を向上させる役目を持っていると言われてい
ます。人間を人間らしくあらせる最も重要な役目を担ってくれているのです。朝起きて、まず、甲状腺を指で軽く
愛撫、摩擦してやることです。

二つ目は、後頭部を手のこぶしで柔らかく軽くたたいてやるのです。

こうすることで脳下垂体というところから、プロラクチンというホルモンが分泌されます。このホルモンは、もの
を愛したり、育てたりする機能があり母性本能、愛他本能を促進するそうです。

朝の習慣で、甲状腺と後頭部をマッサージするだけで、人間らしさが向上するのですからお勧めです。

ホルモンの働きには、素晴らしいものがあります。是非、ご自身を取り巻く環境を、リラックスした、おおらかな
ものにすることで、是非、健康で
明るく、いきいきとした生活を送られることをお勧めします。