1.プリウスとトヨタ
プリウスとトヨタ 2015年 7月10日
先日、スペインに行く機会があり、10日ほど滞在しました。
マドリードやバルセロナの街には日本同様に車が多く走っていました。
ヨーロッパだけに、プジョー、ルノー、VW、BMW、ベンツ、アウディ等、
ヨーロッパ各社の車が圧倒的に多く、日本車もトヨタ、日産、ホンダ、マツ
ダと見かけますが全体の数%足らずでごく少ない。そんな中で目を引いたの
が、タクシーでした。ここ1,2年のことらしいのですが、みるみるプリウス
の数が増えてきているといいます。ちっと見で数えてみても、タクシー全体の
10~20%に及ぶ数です。タクシーの中では一番目立つ車種でした。スペイン
のガソリン代が日本円換算で180~200円/literだそうですから、ハイブリッド
車のメリットは大きい。ヨーロッパ各社製のハブリッド車を見かけない中では
益々プリウスの一人勝ちが続くのであろうと思われます。
こうした車の進化を見るにつけ、創造の大切さを痛感します。日本人として
創造の最先端を行くメーカがある国で生活ができていることに誇りを感じま
した。トヨタは燃料電池車でも先頭を行っており世界を変えていく勢いを感
じます。
そんなわけで、帰国後トヨタの源流を訪ねるべく、静岡県湖西市にある豊田
佐吉記念館を訪ねてみました。
現在のトヨタグループの創始者は、言うまでもなく豊田佐吉です。生まれは
1867年で、貧しい大工の子供として生まれ、母が織機を織る苦労を見て楽を
させてやろうと独学で織機を作り、世界一の織機を作り上げたそうです。
その後、息子の喜一郎が1933年にトヨタ自動車を起業し、今では世界一の自
動車メーカになっているのです。高い志と熱い情熱を継続してもっていれば
100年も経たずに世界一になるのだという見本だと感じます。佐吉翁の有名な
言葉に“障子を開けてみよ、外は広いぞ”があります。今に固執しないことの
大切さを教えてくれています。
もう一つ、“発明発見とか創意工夫の世界は、あくまで広大無辺で、今まで人
間の踏み込んだ地域は九牛の一毛にも達しない。その未開の秘庫は「早く扉を
開けてくれ」と中からいつも我々に呼びかけている。しかも、その扉を開く鍵
は、いつも、どこにも、誰の足下にも転がっておるのである。”
なんと真理を表わした言葉でしょう。
創造の世界は、我々に対して公平に扉を準備してくれています。
自分の財産が欲しい、地位が欲しい、人より幸せになりたいという気持ちは、
その過程で必ず争いを生じます。それに対して、この創造の発想こそは人間と
しての本来の面目と言ってもよいのではないでしょうか。争いによる紛争は人
々に悲劇をもたらし、創造による成果は人々に幸福をもたらします。プリウス
は、佐吉翁の創造の志の継承がもたらした宝のように感じられました。
以上