細胞と神経 2016年10月10日
人間の体の中の細胞の数について、少し前までは60兆個と言われてきました。この数の根拠は、1個当たりの細胞
の重量を1ngとして、人間の平均体重を60kgとすると、60兆個になるという、大くくりなものでした。
最近になって、臓器ごとの細胞の数がおおよそわかるようになってきて、最近では人間の持っている細胞の数は、
37兆2000億個と言われるようになってきました。
細胞は、人間の身体を作る最少の生命現象の単位を言います。
その構造は、細胞膜、細胞質、細胞核で構成されています。
細胞膜で、細胞質と細胞核を包み込んでいて、細胞膜は中の組織を守ると同時に、栄養素や酸素を細胞内に取り込
み、老廃物や二酸化炭素を外に排出する役目を負っています。
細胞質には、ミトコンドリアが存在しており1つの細胞内に300~400個のミトコンドリアがあると言われています。
このミトコンドリアがエネルギーを作り出すもとの活動をしていると言われています。血液によって運ばれた、
酸素と栄養分を反応させて、熱や運動、思考のエネルギーに変換しています。
細胞核は、細胞の中枢に当たる部分で、遺伝子(DNA)の情報を細胞内に伝達しそれぞれの細胞の機能を確立させ
ている部分に当たります。
ここで、細胞の起源に触れておくことにしましょう。
細胞によって構成される生命体が地球上に誕生したのは、今から38億年前と言われています。その頃の地球上には
、酸素はほとんど存在していませんでした。だから、当時は酸素なしで生きていいられたのです。もちろん単細胞の
ものです。このころの生体を解糖系といっています。
ところが20億年前に光合成で酸素を出すバクテリアができて、地球上に酸素が増えてきたのです。この酸素の影響
で解糖系生体は生きづらくなってきました。そこへ酸素を吸収して生きるミトコンドリア系生体が生まれたのです。
そして、解糖系の中へ、ミトコンドリア系がすっかり入り込んでできたのが現在の生体の姿なのです。その時、同時
に背負い込んだ宿命があります、それが死なのです。
ミトコンドリアが作る活性酸素でいずれは解糖体の細胞が壊れてしまうのだそうです。解糖体は分裂のみで生きてい
くから死はないと言います。現在でも解糖系のバクテリアは死なないのだそうです。
その代わり、ミトコンドリアによって爆発的にエネルギーを作れますから一気に進化を遂げてこられたのです。
面白い話があります。解糖系の遺伝子は、父母両方の遺伝子が結びついてできているのに対して、ミトコンドリア系
の遺伝子は、母の遺伝子しか持っていないのだそうです。ですから、母系はさかのぼりやすく、このミトコンドリア
の遺伝子をさかのぼっていくと、7人の女性にまでさかのぼれるのだそうです。
イブの7人の娘という話になっています。
さて、37兆2000億個の細胞の中で、最も多い細胞は何だと思われますか?
それは、赤血球なのです、26兆個あると言われています。赤血球は言うまでもなく、酸素を各器官に運ぶ役目をして
います。そして、この細胞は独自でエネルギーを発生させなくよいので、ミトコンドリアを持っていないそうなので
す。各器官のミトコンドリアに酸素を届ける役目をはたしているのですね。
酸素を受け取った、各器官の細胞についてですが、ミトコンドリアが勝手に燃焼作用を行っているのではないのは
明らかです。何らかの系統だった指令に基づいて働くから、私たちは円滑な生活を送っていられるのです。
そのもとはというと神経系統です。心の働きを身体に伝える神経系統は、全身に広がっています。そして、末梢神経
と言われるものと、細胞との間を繋いでいるのが、シナプスと言われる組織です。これが、系統だってエネルギー変
換をさせているわけです。神経系統の指令でもって酸素と栄養分が燃焼されるわけです。ですから、燃焼の元となる
神経の状態が消極的であれば燃焼も弱弱しいものとなります。ストレスが病を作るのもこうした作用に原因があるの
はお分かりいただけると思います。活き活きと溌剌としていることがどれだけ細胞に良いのかをお伝えできたら幸い
です。