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  いのちを慈しむ            2017年 531

誰もが一度は経験しなければならないのが、死という瞬間です。

この瞬間を考えて見たとき、一番大事なものはといえば、お金でも名誉でも地位でもありません。
それは、ご自身を支え続けてくれている命です。

自分自身が、この命によって支えられているのですから、日頃からもっと命の大切さを生活の重点に置いても
良いと思うのです。

私たちの日常を考えるとき、それは人々の間の相対の世界で生きているものですから、いつしか、お金が大事、
仕事が大事、名誉が大事、家族が大事となり、お金が手に入れば、仕事で出世すれば、家族が健やかであれば、
しあわせが手に入ると考えてしまいがちです。

それぞれは、生活していくうえで大事なものですから、なくて良いものではありません。

ただそれらは、あくまで2次的なものに過ぎないということです。

一番大事な命を、本当に生かすのにはどうしたら良いのでしょう。

身体や心が、命を生かしているとお考えですか。

それは本末転倒で、命が心を生かし、心が身体を生かしていると考えるのが正しい考え方です。

この考え方が確立されれば、命の側から、心と体を見ているということになります。それも心が上流で身体が下流
です。

ですから、命に近いのは心になります。

命を生かすというのは、主が命で従が心ですから、心から働きかけるのではなく、命からみて心を心地の良い状態
に置いておいてやることなのです。



例えていうならば、ご自身で飼われているペットを考えてみましょう。

主はあなたで、ペットが従になります。

ペットがやたらに吠えたり、怒りで牙をむいたり、いたずらに恐れ尻尾を巻いたり、怠惰に寝てばかりいるケースと。

愛くるしく、人懐っこく、素直で、明るくふるまうケースを比較してみたらどうでしょう。

やたらと怒ってばかりだと、やがて飼い主に愛想をつかされ、手離されてしまうでしょう。

一方の愛くるしさを振りまくケースでは、いつまでも面倒を見てくれることになるでしょう。

これを、命と心に当てはめてみましょう。心が暗いと、主である心に愛想をつかされてしまうのです。
それは、病であり、死を指すのです。

心が明るく、朗らかであれば、命と心の関係は、穏やかに和やかに続けて行くことができるのです。

いのちを慈しむということは、心の態度を、どんなことがあっても明るく朗らかに保っていくこと
言うことなのです。