宇宙の意志 2015年12月10日
宇宙の意志というとあまりに漠然としていて、何のことか分からないと言われるかも知れません。
でも私たち人間はこの宇宙、言いかえればこの大自然の中で進化を遂げてきました。そうした目で自らの立ち
位置を確認して観るのも時に重要なことではないでしょうか。
この宇宙は、誕生して138億年と言われています。138億年前にビックバンと言われる現象で、時間、空間が区別
できない気の世界から、時間と空間で認識される現象の世界が誕生した瞬間です。宇宙を観察するとき、我々人
間の技術で137億光年前の銀河が観測できるそうです。しかし、138億年以前の銀河は見ることができない。なぜ
ならそれ以前の現象世界は存在していなかったからなのです。存在していない光は地球に届きようがありません。
この銀河は、一体この宇宙にどれだけ存在しているのでしょうか。今の技術で1700億個の銀河が確認できるそう
です。億の単位というだけで創造を絶する世界です。そうした銀河のひとつに天の川銀河が存在しています。これ
こそが我々の太陽系が存在している銀河なのです。天の川銀河の大きさは、直径10万光年、つまり光の速さで移動
していって端から端まで10万年もかかる大きさなのです。しかもこの天の川銀河の中に、我々太陽系の様な恒星と
言われるものが2000億個も存在しているそうです。ですから全宇宙で想像できるだけでも300垓個(垓とは京の一つ
上の桁)を超える太陽があると考えられるのです。
宇宙の大きさの話はこれ位にして、我々人間に戻って考えてみましょう。
我々生命は地球上に38億年前に誕生し、進化を続け現在に至っています。
進化の過程は、この宇宙、大自然の環境に従って適応できるように変化してきたのが、我々人間であり、今生存し
ている生物全体なのです。
そして、その進化のための情報は、遺伝子といわれる情報に記憶され引き継がれてきています。ですから、この世
に存在する生物の遺伝子の基本構造はほとんど同じ。ただ我々人間だけが特別に大きな進化を遂げることができた
のが現在の姿なのです。
我々人間の体は、60兆個の細胞から成り立っているといわれます。この60兆個の細胞のひとつひとつに遺伝子が含
まれています。しかも、個人ごとに遺伝子は全く同じものなのです。遺伝子の情報量も莫大なもので10の60乗もあ
ると言われています。これほど複雑なものですから、我々人間がどんな細胞ひとつとして作れていないのも当然かも
しれません。この遺伝子を作っているたんぱく質も、もっとさかのぼれば、炭素、窒素、酸素や水素から成り立って
います。そして、その分子も、ヒッグス粒子などの作用量子までさかのぼれるようになりました。この先は、宇宙の
起源と同じ気の世界かもしれません。では、宇宙の意志はというと、ビックバン以前の気から量子の先の気まで一貫
して流れているものと考えて良いのかもしれません。そして、その流れの一端を38億年の歴史をもつ遺伝子の働きの
中に見ることができると思うのです。それは、進化のための系統相伝、そして、生きて生きて生きぬくというプログ
ラムです。植物は水を求めて根を張り光に向かって葉を広げ、魚は鳥に追われれば必死で逃げます。そのうえに人間
はより良い生活を求めて進化を続けてきました。どんな生物も、生きて生きて生きぬこうとするから現在に至ってい
ます。
この意志こそが大自然をつらぬく法則ではないでしょうか。